Saturday, September 12, 2020

シグマとサンの交換式マウント(YSマウント)

 交換式マウントはタムロンのアダプトールが有名ですが、シグマとサンもYSマウントという交換式マウントを採用していました。
参考サイト①
参考サイト②

YSマウント(ヤマキ・システム)
シグマやサンのYSシリーズ、SIGMA-XQシリーズ(初期)、SIGMA-Zシリーズ(一部?)のレンズに採用されていました。
     
タムロンが考案したTマウント(T2マウント)をベースとしてシグマが自動絞り機構と絞り値の伝達機構を追加したものです。YSとはヤマキシステムとのことでヤマキはシグマ創始者の名字なんだとか。Tマウントの派生なのに創始者の名前を付けるなんて図々しいというか…すごいですね。自動絞りはレンズ側にM42マウントのような押しピンを追加することで対応していました。絞りの伝達は金具を絞りリングにネジ止めしてアダプター部へ伝達できるようにすることで対応しています。金具は共通ではなく、マウントごとに微妙に形が違うものが用意されていました。下のようにNikon Fなどは専用にカニ爪の金具が用意されていたり、金具が一体化したタイプのアダプターもあります。
   
また金具取り付けのためのネジ穴も途中で数が追加されたようで初期のレンズには一部の金具(T字型の金具)に対応していないものもあります。


Tマウントとの互換性
取付部はTマウントと同じピッチのねじ込み式なのでTマウントアダプターを取り付けることも出来ます。
ごく初期のレンズはAUTO・MANUAL切替スイッチがあったのでTマウントアダプターでも絞り動作に支障はありませんでした。
   
しかし途中で切替スイッチは廃止され、Tマウントアダプターでは開放絞りでしか使えなくなりました。Tマウントアダプターで絞り込みたい場合は、下写真の青丸内の押しピンを押し込んだ状態に固定する必要があります。


YSマウントの取り付け方法
①マウントアダプターのイモネジが緩んでいないことを確認する(3箇所)
②マウントアダプターをレンズにしっかりねじ込む
③マウントアダプターのイモネジを緩める(3箇所)
④アダプターとレンズの指標を同じ位置に合わせイモネジを締める(3箇所)
※①~④まではTマウントレンズへTマウントアダプターを取り付ける方法と全く同じ
⑤絞り値伝達用の金具を取り付けネジ止めする
    
⑥絞りリングが最小~最大絞りまで問題なく回ることを確認する
⑦絞りリングの作動に問題がある場合は⑤に戻りT型金具のネジを緩めて位置を微調整する
⑧終了

YSマウントアダプターの注意点
YSマウントアダプターはシグマとサンで共通化せずに別々で製造していました。同じマウントでも製造時期や製造メーカーで機能に差があることがあります。Kマウント(シグマ製)は絞り指標が追加されており、ファインダーの絞り値表示に対応していました。
   
M42マウント用では初期のサン製は絞りリングより一回り径が小さく作られています。
サン製YSマウントレンズにはYSと明記されていないものも存在します(AUTO LENTAR、SAMIGONなど)。
これらのレンズは絞りリングの外周にリブが追加されており、YSマウントが最後までねじ込めなくなっています。
例外としてリブより径が小さいYSマウントは取り付けられます。
   

使い勝手
アダプター部と絞り環がツライチになっているため絞りの操作がしづらいです。メーカーも把握していたようで下記のように指を引っ掛けて操作するための補助パーツが用意されていました。
  


まとめ
YS交換式マウントはTマウントをベースにした原始的な方式であり、機構が洗練されていませんでした。また、マウント取り付けにもネジ止めが多く、更に微調整が必要で手間がかかりました。
絞り制御に使われる押しピンの伝達構造に問題を抱えており、絞り不良の個体が多くあります。(オーバーホールしても完全に粘りが取れないこともあります)
YSマウントアダプターが手に入らない場合はTマウントアダプターで代用することが可能ですが、絞り込むにはピンを押し込む加工が必要です。


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